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保育の水遊び・泥遊び|水・泥・流れから広がる子どもの遊びと発達|アネビー

アネビーの遊び研究所

こんこんと遊びが湧き出る、水の環境―泥・水・流れからたくさんの遊びが生まれる―

2026.08.17

6月記事では、作業療法士の視点から、子どもの「自己有能感」を高めるために大人が意識すべき「3つの保障(試行錯誤・失敗・時間)」についてお伝えしました。
では、こうした大人の関わりや環境づくりを、実際の遊びの現場でどのように形にしていけばよいのでしょうか。その答えとなる絶好の素材が、今回ご紹介する「泥・水・流れ」です。

水遊び=プール?

保育園や幼稚園での「水遊び」と聞くと、多くの場合、プールや水浴びを思い浮かべるのではないでしょうか。
管理しやすく、活動としても分かりやすい。確かにそれは、水に親しむひとつの形です。

しかし子どもたちにとっての水の魅力は、本来それだけにとどまりません。
むしろ、整えられた環境ではない自由な場面での、子ども自身が主体となった水との関わりの中にこそ、豊かな遊びが広がっていくのです。
「与えられるもの」としての水と、「自由に関わる存在」としての水。
この違いが、遊びの質そのものを大きく変えていきます。

水は形を変える素材である

水は、つかまえることのできない素材です。
しかし、他の素材と出会った瞬間に、その性質を大きく変化させます。
土と混ざれば泥になり、砂と混ざれば形をつくる素材になる。
傾斜があれば流れ、くぼみがあれば溜まる。濡れた地面は色が変わり、乾くとまた色が変わる。
水を汲んで運んで流すとき、バケツはドバッと流れて、ジョウロでは細くたくさんの流れができる。

このいろいろな姿こそが、水の最大の魅力です。
子どもたちは、この姿に全身で触れながら、世界の仕組みを感じ取っています。
それは言葉で説明される前の、感覚的な理解なのです。

泥:ためす瞬間が連続する
泥:ためす瞬間が連続する
べちゃべちゃの感触も楽しむ

泥遊びは「ためす」瞬間がとても多い遊びです。
水を多く入れれば崩れ、少なければ固まらない。
思い通りにいかない状況の中で、子どもたちは何度もやり直します。

  • どうすれば崩れないのか
  • どのくらいの水がちょうどよいのか
  • どの砂や、どの土を使うと形が保てるのか

こうした試行錯誤は、誰かに正解を教えられて進むものではありません。
自分の手の感触や力加減を通して、少しずつ調整されていきます。
「どろどろ」「ねっとり」「さらさら」「べちゃべちゃ」
そうした質感の違いを感じ取る経験は、まさに新五感のタッチ覚の世界そのものです。

流れ:遊びが動き出す瞬間
流れ:遊びが動き出す瞬間
水を落とす場所を変えて、流れ方をためす

水のもうひとつの大きな特性は、「流れる」ことです。
バケツからこぼれた水が地面を伝い、砂場に川をつくる。
そして、その流れに沿って、子どもたちは遊びを発展させていきます。
新しく溝をつくれば、水は流れ方を変えます。
石を置けば、流れは止まり、やがて溢れ出します。

そして、子どもたちは、試し始めます。

  • どうすれば遠くまで流れるのか
  • どこをせき止めれば水は溜まるのか
  • どのくらいの高さが必要なのか

子ども達は、水に合わせて、遊びも、遊び環境そのものも変化させていくのです。

道具たち:工夫が生まれる環境
道具たち:工夫が生まれる環境
「出して―」「わかったー」ポンプ係との
連携もうまれる

水が「どこから来るのか」を実感できることも、重要な体験です。
ホースから出る水。
井戸ポンプを動かして汲み上げる水。

特に、井戸ポンプのように「自分の動きによって水が生まれる」体験は、子どもに強い印象を与えます。
力いっぱい動かすと水が出る。
動きを止めると出なくなる。
原因と結果が、はっきりと結びついているからです。

また、ホースの水も大きな特徴を持っています。
ホースの先を持つ手の力加減で、水を細くも太くもでき、水の勢いを変えることができます。
また、流れをつくるための場所や向きを自由に選ぶこともできます。
この操作性の良さは、子どもたちの遊びの幅をさらに広げていきます。

水遊び場には適度な長さのトイや竹を割ったものを用意しておきましょう。子ども達は水が出たところから、自分たちで決めたゴールまで水を運ぶコースを作り始めます。
その過程にある試行錯誤や友達とのかかわりが、自然法則や物理法則への気づき、やり遂げる力、協力し合うコミュニケーション力などにつながっていくのです。

水との関係を取り戻そう!

水との関係を取り戻そう!
雨といとたらいで水を感じる
  • 手をかざすだけで出てくる水栓
  • 床を濡らすことのない台所のシンク
  • 雨といを通って、誰の目にも留まることなく地下に流れていく雨水
  • 蓋がされた側溝

現代の子どもたちは、快適に整備された環境の中で多くの時間を過ごしていて、その中で、水も「管理される対象」として扱われています。

しかし「水」は「遊びの素材」の中でも群を抜いて素晴らしいものです。

|流す
|ぬらす
|ぬれる
|かける
|ひたす
|うかべる
|すくう
|まぜる
|まく

その一つひとつが、子どもの発達の体験につながります。水遊びとは、単なる季節の活動ではありません。
子どもが世界の仕組みに触れ、自分なりに関わり方を見つけていく入り口なのです。

「管理された見えない水」から「自ら関わる水」へと変えていきましょう。

雨が降ったとき、「雨だからお部屋で遊びましょう」だけではなく、「雨だから、みんなで雨を集めに行ってみよう!」という選択肢が増えるとよいですね。

アネビー著

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