作業療法士からみた遊びの大切さ
2026.06.15
作業療法士は人間のさまざまな営みを「作業」と捉えていますが、子どもの遊びも重要な作業の一つとして支援の対象になります。子どもにとっての遊びは発達を促す活動そのもので、その子の様子を見れば発達の状況を把握することができ、逆に遊びを支援することで発達に働きかけることもできます。
発達のための好循環をつくる

新生児は自分の手足をいろいろ動かすことで身の回りの環境を確認しています。成長とともに寝返りやお座り、ハイハイ、伝い歩きと少しずつ確認する範囲を広げていきます。
身の回りの狭い範囲から広い範囲に、平面の環境から立体に、発達とともに変化し広がる様子を「環境支配」という観点でとらえます。
その過程で「挑戦」し、具体的な「成功」をし「達成感」を感じる。これを「自己有能感」といいます。
自己有能感が高ければ新しいチャレンジの時に、それを乗り越えようとするエネルギーが生まれます。
大人は、子どもの「自己有能感」と新たな「環境支配」とがうまく続く「好循環」の状態になるように援助していく必要があるのです。
大切な3つの保障
遊びの環境を設定する際には、物的環境だけでなく人的環境としての大人が「保障」してなくてはならない3つのキーワードがあります。

■「試行錯誤の保障」
子どもが何かに取り組むときには試行錯誤が必要です。遊具遊びなどで「〇〇ちゃん、手はここ、次はこっちの足」と言葉をかけたくなる場面がありますが、我慢して子どもが自分で考えて試すことを見守ってあげてほしいと思います。
■「失敗の保障」
試行錯誤すれば当然、失敗することもあります。その時にリカバリーを手伝うことはあっても、「失敗させない」ようにするのはやめてほしいと思います。子どもはいつも「ぎりぎり」を目指します。どれだけ速く走れるか、どこまで高く登れるか、どこまで力が入れられるか。「ぎりぎり端を知る」を知るためには失敗がつきものです。子どもには失敗の権利があるのです。
■「時間の保障」
子どもの試行錯誤には時間がかかります。子どもがトライして、失敗して、またトライするという一連の流れは効率化できません。結局は「急がば回れ」です。自分が試したいことをじっくり試せる時間の保障をしてあげることがとても大切です。
自由な遊びの重要性

幼児期には、特定のスポーツ(運動)をさせるよりも自由にからだを動かす遊びをたくさんしたほうが良いと文部科学省の幼児期運動指針に書かれています。
最新の研究結果も運動教室を実施している園より自由遊びを重視しているところの子どもの方が、高い運動能力を示す結果が出ています。大人が用意した「活動」より「自分の意志」で環境に働きかけ、そこで生まれる試行錯誤のほうが子どもの発達につながるのです。
子どもが主体的に関わりたくなるような「わくわく」と「トライ」の要素、そして「安心」「安全」な環境を整えたいものです。
【語り】
酒井康年
さかいやすとし
作業療法士
社会福祉法人からしだね うめだ・あけぼの学園 学園長
http://umeda-akebono.or.jp/
※この記事は酒井先生とアネビーとの対談内容を文章化したもので、アネビーのカタログ『PLAY+ROOM5」に掲載したものを再構築したものです。










