Now Loading...

モンテッソーリ教育の敏感期|子どもが同じ遊びを繰り返す意味|アネビー

アネビーの遊び研究所

子どもには自分の成長のために「しなければならないこと」がある ~敏感期について~

2026.09.17

騒がしいはずの子どもが、ふと静かになって、目の前のことに長い時間集中している姿をみたことがありますか?
小さい子が、ひとつのことをあまりに真剣に繰り返すので「うちの子ヘンなのかしら?」と心配するお母さんも時々いらっしゃいます。
子どもは自分の成長に必要なことをみつけると、とても真剣に持続してやるものです。

『自分を成長させる活動』
それをモンテッソーリ教育では「おしごと」と呼んでいます。このコラムでも以前お話ししましたが、私たち大人が「遊び」と思っている時間の中にも、この「おしごと」の要素はたくさん備わっています。

子どもたちは「繰り返す」

子どもたちは「繰り返す」

遊びを見守る保護者の方が感じる迷い。
「うちの子、同じ遊びばかりしているけど、これでいいの?」

結論から言うと…
「いいんです!」

子どもたちが同じ活動を繰り返すのは、幼児期によくある姿です。
好きな遊びだから繰り返す。
同じが安心だから繰り返す。
もっと分かりたいから繰り返す。

子どもをよく観察してみてください。
自由に選び、繰り返し、集中して、充実感や達成感をもって終わりにする。

子どもが繰り返す時、集中している時には、こういった「活動のサイクル」をたどっていることが多いものです。納得いくまでやり続けるからこそ「できた!」という喜びや満足感が生まれてきます。

そんな活動を経験していくと、子どもは知的にも精神的にも、ひと回りふた回りも成長していき、どんどん変わっていきます。

「繰り返す意味」敏感期の存在

「繰り返す意味」敏感期の存在

子どもたちはどうして繰り返すのでしょうか?子どもは小さな研究者のようです。
「なんでだろう?」「面白い!」小さな体の中は、知性と好奇心でいっぱいです。
もっと知りたい気持ちが溢れて、まさに研究者のように、同じことを何度も繰り返し、「本当に次も同じことが起こるのか?」それとも「新しい発見があるのか?」と試しているのです。

何度も繰り返す行動の背景には『敏感期』があります。

『敏感期』とは?
  • 幼少期に、ある能力を獲得するために
  • 環境中の特定の要素に対して
  • それをとらえる感受性が特別に敏感になってくる一定期間

のことです。※1

つまり、子どもが自分から「やりたい!」と繰り返そうとすることは、子どもが「自分の成長にとって必要なことを選び取って、その力を高めようとしている時」だと言えます。

大人にとっては「同じ」に見える行動でも、よく観察していると、子どもなりに少しずつ変化や発展を加えていることが見えてきます。何度も繰り返すから、わずかな差異や法則性が分かってくるのですよね。

「動き」にしてもそうです。何回も何十回も繰り返すからこそ、その動きが身につき、子どもの脳と体のネットワークが張り巡らされ、繋がっていきます。そして、繰り返す行動は、子どもの集中力をぐんと高めます。

ですから、「一度したからいいでしょ」「せっかくだから違うものもやってみたら?」などと止めずに、子どもが心ゆくまで、納得するまで遊び込むのを見守ることが大切だと、モンテッソーリ教育では考えています。

※1『モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』相良敦子/著 講談社1985

小学1年生「お料理の敏感期」が来た!?

小学1年生「お料理の敏感期」が来た!?

環境にある特定の要素に特に敏感になる時期は、幼児期だけに現れるとは限りません。学齢期のこのような姿も「敏感期」に由来するものだということをご紹介しますね。

我が家の次男が小1の頃、何故か突然、「玉子焼きブーム」が来たのです。学校から帰るなりキッチンに入り「たまご使うね~」と冷蔵庫から取り出して自分で玉子焼きを作るのです。それは日曜日からはじまり、月曜日火曜日水曜日…とブームは続き、1週間や2週間では終わらず、1ヶ月以上続きました。

はじめの頃は「また!?」と思いましたが、生き生きとした次男の表情と手際の変化に気づき、「これは、成長に必要な過程なのだろう」と、本人が納得するまで見守ることにしました。

卵の割り方が日に日に上達していくのが分かりました。まぜて、弱火で火をつけて、卵を流し入れる。毎日繰り返しているうちに、段取りがよくなってきました。「強火にすると、表面がポコポコってなるね!」「もう弱火にしなくちゃ」など、手順も火加減も、親が口を出さなくても一人で気づけるようになりました。

同じ活動を繰り返すことで得られるもの…。それは、前よりも向上していくということです。

次男の「玉子焼きブーム」から気づいたことがあります。それは「活動のサイクル」をたどって子どもが変わっていったということです。

1、子どもが何かを自分から始め
2、継続して主体的に関わり
3、時として周りが見えなくなるくらい集中しておこない
4、自分から満足してやめる

このような「活動のサイクル」と呼ばれる一連の過程を経た時、子どもはひと回り成長し、本来のよい部分があらわれてきます。

このブームをきっかけに、私が「見守ろう」と決め、口を出したり、止めたり、邪魔をしなくなったので、次男は今まで以上に何事にも生き生きと挑戦するようになりました。

  • いつでも活動をはじめ、好きな時にやめられる状況→情緒の安定感
  • 手と目と頭を使い、十分に好きなことをやりきったという充足感からくる→落ち着き
  • 一人でできた経験→自信と意欲
  • 繰り返すことにより得られる発見→発展性、工夫の余地、そして感覚の洗練
  • 自分のやりたい気持ちを尊重し、活動の時間が保障されていること→優しさ、思いやり、協調性
  • 自己選択・自己決定→自分ではじめたことに対して責任をもつという気持ち

さて、1ヶ月以上も続いた次男の「玉子焼きブーム」は、ある日ぱたっと終了しました。ですが、その後もチャーハンになったり、野菜炒めになったりしながら、その中で身につけた技術を活かしながら、料理を習得しようとする姿は続いていきました。

子どもは何度も何度も経験しながら感覚を洗練していきます。同じ遊びを繰り返すのは、子どもがひとつのことを着実に自分のものにするために、必要な姿といえるのです。

【執筆】
大津ゆう子
おおつゆうこ
モンテッソーリ教師、保育士、発達障害児支援士
モンテッソーリのちいさなお教室「にじぐみ」主宰
https://www.instagram.com/soraiangle/

コラムの一覧へ