【新五感と遊び①】感覚と遊び
2025.12.15
人生最初の遊び
赤ちゃんは生まれた時、からだを自由自在に動かすことができません。手足をバタバタと動かしていますが、意図した動きではありません。
あるとき目の前におもちゃがありました。
手足を動かしているうちに、偶然指先がおもちゃに触れます。
「うん?僕の動かしている部分の先っぽ(指のこと)が何かにあたったぞ?どうやら目に見えているあれらしい」
視覚から得た情報と、手足を動かしたときの情報が一致した瞬間です。
ただ、1度だとまだ確定情報にはなりません。
何度も試し、力の入れ方や方向を変えながら挑戦します。そして、ついに指先でおもちゃに触れることに成功!
「やったー!こうやって動かせばあれを触ることができるんだ!」
うれしくて何度も触ることを繰り返す。これが人生最初の「遊び」です。
新五感
さて、人間の感覚(センサー)は10種以上あるといわれています。
その中で、子どもの発達に直接かかわる重要な5つの感覚をアネビーでは「新五感」と呼んでいます。
①バランス覚(前庭覚)
②ボディ覚(固有覚)
③タッチ覚(触覚)
④視覚
⑤聴覚
乳幼児の遊びの本質は「探究」です。
知らない感覚に出会ったとき、できなかった動きができるようになったとき、子どもは喜びを覚えるのです。逆に言うと、まだ知らない新しい感覚刺激を求めることが「探究」です。
赤ちゃんは最初、ベビーベッドの中や、抱っこやおんぶ、ベビーカーの中など、とても狭い範囲で過ごしています。
それが、寝返りができるようになると、世界が180度回転するわけですから、視覚的に大きな感動が生まれます。
そして、おすわり。視点が高くなって、世界を立体的にとらえられるようになり、ズリバイからハイハイ、つかまり立ち、よちよち歩きと、行動範囲が広がって行きます。
何か面白そうなものを見つける(感じる)、手を伸ばして触る(運動)、触ったときに動くとか音が出るとか光るとか新たなアクションが起こる(感じる)、また違うところを触ってみる(運動)。この繰り返しが「探究」です。

感覚刺激は脳の栄養素
何かを感じることは、脳に刺激を与えることです。
赤ちゃんの時の、まっさらな脳にできるだけたくさんの刺激を与えてあげる。
これが脳を育む方法の一つです。
感覚刺激は脳の栄養素です。
感覚刺激は視覚だけではありません。聴覚も、タッチ覚(触覚)も、バランス覚(前庭覚)とボディ覚(固有覚)も刺激になります。
改めて新五感を見てみましょう。
- バランス覚(前庭覚)→地球の重力やからだの移動を感じる
- ボディ覚(固有覚)→自分自身のからだの状態や力の入れ具合を感じる
- タッチ覚(触覚)→触った感触、温度、痛みなどを感じる
- 視覚→色やまぶしさなど光を感じる
- 聴覚→音や声、その大きさや高低、音色、方向を感じる
整理すると、新五感は「外界の情報を感じること」と「自分自身の状態を感じること」の2種類があります。
どの感覚だったとしても、新しい感覚を感じた時に、子どもは喜びを覚えます。
1~2歳くらいの子が、ただ、くるくる回っているだけなのにものすごく楽しそうにしている姿を見かけませんか? それも、バランス覚(前庭覚)やボディ覚(固有覚)の感覚刺激を楽しんでいるのです。
感覚運動遊び
感じて動く。
この繰り返しが感覚運動遊びです。
感じる部分は新五感を例にすれば5種類あり、運動する部分はからだの関節と筋肉の数だけ存在します。
決して、絵の具を手に付けて遊ぶことだけが感覚遊びではないですし、走り回ったり、サーキットをしたりすることだけが運動遊びではありません。
赤ちゃんは、まず、バランス覚(前庭覚)やボディ覚(固有覚)の刺激を感じ、自分のからだを動かすことに喜びを覚えます。
本来地球はでこぼこにできていて、人間はでこぼこを歩くようにからだができています。
ハイハイやよちよち歩きの時、ほとんどの時間を平らな場所で過ごした子どもと、でこぼこがたくさんあるところで過ごした子ども、どちらの方が脳への刺激が大きいでしょうか。
新五感の各感覚についての詳細は、また別の機会に解説します。










