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安全な遊具とは?その定義について考えること|安全性・保証|株式会社アネビー|幼稚園・保育園・商業施設の遊具・園庭(遊び場)のデザイン設計

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安全性・保証

安全な遊具とは?その定義について考えること

2018.11.09

RPII精密点検検査士として、このアネビーのHPに連載させてもらう事になりました、Mr.Hです。初回はかなり命題的なテーマから始めようと思います。

安全な遊具ってどういうものを指すのでしょうか?

この質問に一言で分かりやすく答えられるのが、本当に優れた遊具メーカーなのかもしれません。遊具や遊び場を検査するRPII(国際遊び場検査士機構)精密点検検査士である私は、今のところは一言では伝えることができないので、この場を借りてお伝えできればと思います。

EU加盟国中心に、世界34ヶ国が準拠している遊具と遊び場の基準『EN1176』の別冊CEN/TR17207にはこうあります。

3.14 safety
achieved state in the absence of unacceptable risk
Note 1 to entry: Safety is achieved by reducing risk to a tolerable level.
Note 2 to entry: Safety is often misunderstood by the general public as the state of being protected from all hazards. Instead safety is the state of being protected from recognized hazards that are likely to cause harm.

<<直訳に近い意訳>>
3.14安全(性)
許容範囲外のリスクが取り除かれた状態
当項目への注記1:リスクを許容レベルにまで下げる事によって安全性が達成される
当項目への注記2:安全とは全てのハザード(危険源)から守られた状態ではなく、許容レベルを超えるリスクがない状態である。

写真これを読んだ方はこう思うと思います。「ふむふむ。じゃぁ許容レベルって何を基準に判断するの?私の気分とか感性でいいの?」
「はい、それでいいんです。」と本当は答えたいところなんです。が、まだ日本の社会や教育はそこまで成熟はしていないと感じています。リスクを分析すること(リスクアセスメントと言います)に没頭すればするほど、ベネフィット(メリット)への視点や評価がないがしろにされることがとても多いからです。いいえ、むしろその前に、「子どもの遊びの分野」では、リスクアセスメントで危険を数値化して対策するどころか、危ない、危なくないという議論だけで終わってしまうことが多いかもしれません。
そのリスクが許容レベル内かどうか、判断する時の一つの方法論として『リスクベネフィットアセスメント』があります。

分析・評価したリスクレベルと、それが内在しているメリット(ベネフィット)も分析・評価して、2つを比較します。そして認知・評価したベネフィットをなるべく損なわないで、リスクを丁寧に下げる工夫をすると「安全性が高い」となる訳です。

この方法は交通・建築・プロダクトデザインを初めいろんな分野で使われています。それらの分野では「便利さ」や「経済学的な利益」、そして「安心」をベネフィットとしての基準にすることが多く、しかもそれらのベネフィットは比較的想像と実感が容易で数値化も行いやすいことが多いです。一番、顕著なのは「交通」です。リスクとしては1日に何人も死亡しているので、かなり高いリスクレベルですが、国民の殆どがそのベネフィットを享受しているため、リスクを下げる対策のスピードがとても遅いです。しかしその中で新幹線はリスク対策がうまくいった例で、ベネフィットがリスクを大きく上回っている超優秀なツールですね。

写真さて、子どもの遊具と遊びの分野においては、ベネフィットの基準が前述の分野とは大きく違うのはお分かりでしょうか?
例えば「遊びやすい、登りやすい」遊具や「綺麗でkawaii」遊具が、実際、子どもの発達のメリットと比例していることはまれです。さらに最近、この分野では、そのベネフィットの基準として「遊びの価値」を採用して評価することを推奨しています。そして大人の都合とは反して、「遊びの価値が高いもの」は往々にしてリスクが高いのです。言い換えると遊びの価値にはリスクが必要不可欠なのです。
今回はここまで。次回はそれぞれの例をあげていこうかと思います。

RPII 精密点検検査士 Mr.H

RPIIとは?

EU(ヨーロッパ連合)を中心とした世界33ヶ国で採用されている世界で最も権威ある「遊び場と遊具の基準」となる『EN-1176』に基づき、メーカー、基準策定、検査機関のうち検査を担う機関。メーカー内での製造時検査は主にTUV資格者が行い、それ以降の設計、設置、メンテナンスの検査・点検を行うための、人材のスキル習得・資格授与をRPII資格者、特に精密点検検査士が担う。精密点検検査士には以下、「基準」「リスクベネフィットアセスメント」「技術」「子どもの発達」「設計」「社会」「遊びの価値」の全てのスキルにおいて最高水準の知識と検査技術が求められる。

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